太陽光発電所の保険に加入すべき？保険の種類や加入時の注意点を解説

CO2を排出しない太陽光発電所は、電気代の節約やエネルギー不足問題を解決できるなど経済的なメリットがたくさんあります。しかし、地震などの自然災害の多い日本において、太陽光発電所を建設する際は保険への加入が必要です。どのような保険に加入すべきか、加入時の注意点など、本記事では太陽光発電所の保険について詳しく説明します。

太陽光発電所の保険に加入したほうがいい理由

最初に、なぜ太陽光発電所の保険に加入したほうがいいのか、その理由を解説します。【増加している太陽光発電所の事故】脱炭素やカーボンニュートラルの取り組みの一環として、太陽光発電所を建設する企業が増えてきましたが、同時に太陽光発電所関連の事故も増えてきています。たとえば、豪雨による事故です。集中豪雨の影響で発電所内で土砂崩れが起きてしまい、太陽光パネルが崩落する事故がありました。そのほか、各地で地震や台風の被害に遭っているため、万が一のときのためにも保険への加入が必要になります。【経済的損失が軽減できる】保険に加入していると、自然災害や事故で太陽光発電所に被害が生じたとしても経済的損失を賄うことができます。メーカー保証も適用される可能性はありますが、メーカー適用対象外の場合は保証を受けることはできません。近年増加している太陽光発電所の事故による損失をカバーするには、メーカー保証だけでは不十分です。【多額の賠償金を請求される可能性も】太陽光発電所の事故によって第三者が被害を受けると、多額の賠償金を請求される恐れがあります。特に、山間部に建設されている太陽光発電所の場合、土砂崩れによって民家に被害を与える可能性が高めです。多額の賠償金を請求されると自社だけで負担できません。賠償請求のリスクと負担を少しでも減らすために、太陽光発電所の保険加入が必要です。

太陽光発電所の保険の種類

では、具体的に太陽光発電所の保険にはどのような種類があるのでしょうか。主な保険の種類とそれぞれの特徴を詳しく説明します。【火災保険】火災保険は、火災・落雷・風災・ひょう災・水害・盗難・落下物などによって発電所に被害が生じた際に備える保険です。ほとんどの自然災害が保証の対象になっていますが、再発防止対策や残存物の片付けにかかる費用に対しても補償が出ます。ただし、火災保険は保険会社によって補償対象や種類が異なるので注意が必要です。なお、太陽光発電所の火災保険としては、以下のような種類があります。普通火災保険：自然災害などで補償対象の設備に損害が発生した場合に補償される、動産総合保険：不動産以外の財産で火災保険・工事保険といった損害保険でカバーできないものが対象、企業向け包括保険：工場や倉庫など企業が所有する複数の物件をまとめて補償する【地震保険】地震保険は、地震によって受けた被害を補償する保険です。

地震は火災保険の適用対象外になっているケースがほとんどのため、火災保険と地震保険の両方に加入します。ほかの保険と比べると地震保険は保険料が高く設定されており、加入を見合わせるケースが多いのが現状です。しかし、地震大国の日本に太陽光発電所を建設する場合、地震に対する備えはしておいたほうが安心できます。【休業損失保険】休業損害補償は、自然災害などの事故で太陽光発電所の機能が停止した場合、その間の損失を補償してくれる保険です。発電所が動かなくなると一時的にエネルギーの供給ができず、売電収入が低下してしまいます。休業損害補償に加入しておけば、発電所が稼働停止したとしても損失分がカバーできるでしょう。また、故障や稼働停止における負担を減らすだけでなく、出力抑制に対して補償してくれる保険もあります。【施設賠償責任保険】施設賠償責任保険は、太陽光発電所の事故で第三者へ被害が出た場合に補償してくれる保険です。発電所の事故による第三者への被害のほか、ほかの建物への被害や片付けの費用、お見舞い金などが補償対象となります。火災保険や地震保険は発電所自体への被害を補償するものですが、施設賠償責任保険は他者に対する補償であるという点が大きな特徴です。

太陽光発電所における保険選びのポイント

どの保険を選べばいいのか、太陽光発電所における保険選びで悩む方は多いでしょう。保険料は決して安くはないため、さまざまな種類を比較しながら最適な保険に加入する必要があります。太陽光発電所における保険の選び方で押さえておきたいポイントを、一緒にチェックしておきましょう。【補償対象の優先順位を決める】どのような内容を補償してほしいのか、補償対象の優先順位を決めることが大切なポイントです。たとえば、山間部や川沿いなど自然災害の被害を受けやすい場所に太陽光発電所を設置する場合、自然災害を補償する火災保険・地震保険への加入が優先されます。どのような補償を充実させたいか、太陽光発電所で考えられるリスクを念頭に置いて加入する保険を選びましょう。

【保険の適用対象・保険料を比較する】太陽光発電所のリスクや立地などを踏まえた上で、保険ごとの適用対象と保険料を比較することも大切です。保険会社によって適用対象や保険料が異なるため、自分の目で確かめる必要があります。たとえ、保険会社や取引先からおすすめされた保険だとしても、保険の内容は細部まで確認してください。また、複数の保険を比較することでそれぞれの違いや特徴が分かりやすくなります。【設置場所のリスクを考える】保険を選ぶ際は、太陽光発電の設置場所におけるリスクを考える必要があります。たとえば、設置場所付近で盗難被害が発生している場合は盗難が補償対象になっている火災保険、土砂災害によって第三者に被害が出る可能性がある場合は施設賠償責任保険への加入が必要です。太陽光発電所の建設場所でどのようなリスクが起きるのか考え、その損害を補償してくれる保険を選びましょう。

保険加入時の注意点

補償内容など保険の詳細をしっかりと確認するのはもちろんのこと、加入条件にも注意が必要です。保険会社の中には、火災保険と地震保険がセットになっていたり、○○保険に加入しないと火災保険に加入できなかったりと条件があります。また、ケースバイケースによって補償対象外となる可能性もあるため、疑問点や不安要素がある場合は契約前に解消しましょう。さらに、保険会社選びも注意しておきたいポイントです。できるだけ太陽光発電事業に精通している保険会社を選びましょう。太陽光発電事業に精通している保険会社はどのようなリスクが起きやすいのかを想定しているため、リスクが抑えられるほか、事業計画に基づいた保険プランを提案してくれます。提案力のある保険会社ほど、事業に寄り添ったサポートを受けられるでしょう。

まとめ

太陽光発電所の保険について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。地震や豪雨、台風などの自然災害に備えるだけでなく、第三者への損害賠償をカバーするためにも保険への加入は必要です。太陽光発電所の保険としては、火災保険や地震保険、休業損失保険、施設賠償責任保険などの種類があります。加入する保険を選ぶ際は、太陽光発電所の建設場所でどのようなリスクが考えられるのか、どのような補償を充実させたいのかが大切なポイントです。太陽光発電事業に精通している保険会社と相談しながら、最適な保険を選びましょう。

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